東京高等裁判所 昭和34年(ラ)121号 決定
仮登記にもとずいて後に本登記がなされた場合その「本登記ノ順位ハ仮登記ノ順位ニ依ル」ことは不動産登記法第七条第二項の定めるところである。しかしてみぎ規定の趣旨はつぎのように解すべきである。
すなわち、不動産物権変動の対抗力は本登記がなされてはじめて生ずるものでみぎ規定は登記の対抗力を遡及せしめることを定めたものではなくたんに仮登記の順位保全の効力を定めたものにすぎない。したがつて不動産物権変動の対抗力そのものは本登記の実行の時から生じ、仮登記の時にまでさかのぼることがないのはもちろん現実に物権変動のあつた時にまでさかのぼるものでもない。しかしながら、あらかじめ仮登記がなされている場合後に本登記がなされると、その本登記の順位を決定する基準はさかのぼつて仮登記の時とするから、仮登記以後本登記の時までに仮登記の権利の内容と牴触するような処分がなされているならばその処分(いわゆる中間処分)は効力を失いまたは後順位となる。このように解すべきである。このように解することは、抗告人の主張するような自家撞着に陥つているものでは決してない。なにゆえならば、本登記をなすまでは仮登記権利者は、これと牴触する権利を取得した第三者にたいして、仮登記の内容をなす権利をもつて対抗することはできないから、本登記経由まではあくまでその第三者が権利者とみとめられ、これにしたがつて法律関係が律せられるにたいし、もしその第三者の権利者の権利取得行為が仮登記権利者の仮登記と本登記の中間になされたものであれば、仮登記権利者の本登記以後は仮登記権利者にたいして主張できなくなるという関係に立つので、その間なんらの矛盾はないのである。
しかして不動産登記法第七条第二項の規定は、同法第二条第一号の仮登記と、同条第二号の仮登記との間になんらの差別を設けていないのであるから前示仮登記の効力として説明した趣旨は同法第二条第二号の場合である本件の仮登記についてもあてはまるものであることはいうまでもない。以上に反する抗告人の主張は採用できないところである。
(牧野 谷口 満田)